現代を華やかに彩る食生活。人の歩むこれからの”食”生活を考える。

2021.02.02

KEY WORD関連キーワード

「昨日の夜は何食べたっけ・・・?」昨夜に感じた満足感(満腹感)は、翌朝になれば過去の出来事として消化されていく。そんな、特段記憶に残るような物以外は、昨日の食べた物すら思い出すことのできないほど、何気なく充実した現代の食生活。そう言われると、私たちの日々の食生活は順風満帆そのものに感じざるを得ない。

 

少し年寄りの頑固者の方便のようにも感じるが、満足に”食べること”すらできない国や地域があることを忘れてはいけない。そんな奇麗事とも思える発言ができる、この国に生まれたこと、満ち足りた現代を作ってくれた先人達には感謝する必要がある。

 

近代の歴史を辿ってみれば、戦争敗戦国である日本も決して裕福な台所事情ではなかった。家庭での食事は制限されており、実に質素なものだった。米(白米)は制限され、穀物や野菜といったものの摂取はごく少量となり、輸入製品の流通などは一般家庭の裾野まで広がることなど到底なかった。

 

食が及ぼす社会的身体影響

古代の文明において、食文化が現代に比べて未発達だったのは言うまでもないだろう。情緒溢れる平安

や鎌倉時代においてもそれは同様だった。戦乱の世、江戸時代においてもそれは同様で、将軍家や武家においても、食事の7割を白米が締め、小さな焼き魚や干物、漬物とみそ汁が副菜として添えられれば上等なものだったと言われている。

 

実際の統計データとして、江戸時代前期の成人男性の平均身長は155cm程度、成人女性の平均身長は143cm程度とされており、現代の体格に比べ、とても”小さかった”ことが分かる。現代の人間が江戸時代にタイムスリップをしたとすれば、巨人扱いを受けることは間違いないだろう。

 

明治時代に入り、身長と体重は増加傾向を見せ続けている。とはいえ、昭和の時代でも成人男性の平均身長は166cmほどで、成人女性の身長も155cmほどだ。今でも国民の平均身長は成長を続け、成人男性の平均身長は172cm、成人女性の平均身長158cmと言われている。

 

これらの体格差の影響は「食生活」によるものなのは、言うまでもないだろう。栄養価の高い食物を食べたい時に好きなように食べることができる。そして、好きなものを選り好みして食べることができるのだ。いわば、食産業の発展が今の人々の身体を作り上げていると言ってもいいだろう。

 

歴史の流れとは逆行した流れをみせる昨今の食事情

体格の発達とともに比例する食の充実度とは裏腹に、昨今の若者を中心とした世代の食生活は変化を見せているように感じる。

 

そのアンチテーゼとも思えるもののキーワードが「ダイエット」だ。

世界で一番の食料大国と言われるアメリカは”肥満体国”とも言われており、ワークアウトやエクササイズといった運動を行い健康の維持やスタイルの維持を行うことが通例となっている。つまり、食が充実しすぎた現代においては、人が不自由なく生活するだけで「太ってしまう」のが当たり前となっている。

 

日本においても、「糖質制限」や「脂質制限」などと食を制限することで、体系の維持や体重を減らす努力をしている若者も少なくない。ほんの数十年前までは、食事をすることすらできなかった人間が、現代では食事を自らしない選択肢を選択しているのだ。それは、人々のライフスタイルの変化が原因なのか、人々の食事(の内容)が原因なのかは、人によって意見が分かれるであろう。

 

私たちが考える未来の「食」の姿

そんな現代だからこそ、あらためて考える必要があるのが、「食の未来」なのではないだろうか。現代の私たち、本来の私たちがするべき食事や食生活はどのようなものだろうか。高度経済成長による急激な発展を遂げた社会において、自分たちの私腹を肥やすことだけが幸せの尺度なのだろうか。

 

私は、本来の人としての健康で健やかな生活を送る未来を創造することこそが、次世代の食文化におけるミッションになるような気がしている。お世辞ではなく、そんな未来と「conomeal(このみる)」が共にあることを心から願うばかりだ。

 

この記事の著者のプロフィール

杉浦 雄貴

株式会社バンドオブブラザーズ 代表取締役

クリエイティブカンパニー株式会社バンドオブブラザーズを2017年に設立。ファッション好き・音楽好きというのを背景に、"食"にまつわる様々なカルチャーについての記事をお届けします。

こんな記事も読まれています