料理を手軽に介護食にできる「デリソフター」が生み出す未来(前編)

2021.01.30

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高齢化社会の先進国である日本では、人口における65歳以上の割合が28.8%(2021年1月1日時点)に達しており、その半数以上である14.9%が75歳以上のいわゆる「後期高齢者」となっています。人口全体が減少する一方で高齢者人口だけは増加の一途をたどっており、今後さらに深刻化していくことが予想されています。

 

こうした中で課題になるのが摂食嚥下障害への対応です。摂食嚥下障害とは、食べ物を歯や舌でそしゃくして飲み込むまでの一連の動作が、病気や高齢化などによって難しくなること。独立行政法人国立長寿医療研究センターが2012年に発表した「摂食嚥下障害に係る調査研究事業報告書」によると、療養病床や介護老人保健施設、特別養護老人ホームの入所者の4割以上が摂食嚥下障害を抱えているとのことです。

 

施設入居者の場合はその人向けの介護食が用意されると思いますが、自宅で過ごす高齢者の方の場合はそうは行きません。介護食サービスやレトルト食品などを利用するか、家族が自分たちの食事とは別に介護食を用意する必要があります。こうした家族の負担を軽減するだけでなく、家族みんなが同じ食事を取れるようにしてくれる画期的な製品が、ギフモ株式会社が提供する「DeliSofter(デリソフター)」です。デリソフターがどのようなものなのか、どのような経緯で生まれたのか、フードテック関連オンラインイベント「Foodtech Venture NEXT」に登壇したギフモ株式会社代表取締役 森實将氏のセッションから紹介していきたいと思います。

 

■食材に多数の切れ目を入れ、圧力をかけて柔らかくする「デリソフター」

まずは、デリソフターの製品を紹介しましょう。デリソフターは本体に加えて、食べ物をカットする「デリカッター」、本体内に入れて調理する専用皿、専用台で構成されています。

 


ギフモ株式会社が提供する「デリソフター」

 

デリソフターは調理済みの普通の食事を入れてボタンを押すだけで、食べやすい介護食に変身させる調理家電です。

 

「作る側にとってはご飯を作り分ける負担を軽減し、食べる側にとっては家族と同じ、今まで食べてきたご飯を食べられるところがポイントです」と森實氏は語ります。

 

「介護食は見た目と味にこだわりだすと、作るのが非常に難しいんです。でも特殊な調理技術や知識を持たなくても自動で調理してくれる。何よりも見た目と味そのままでおいしいというところが我々の一番のこだわりです。デリソフターは食材に合わせて1〜5の調理設定ボタンを押すだけで、歯茎や舌だけですぐにそしゃくできる柔らかさまで柔らかくすることができます」(森實氏)

 

料理を柔らかくする仕組みは次の通りです。

 

まな板の上に食材を置き、72本の刃を持つデリカッターを載せてスタンプするように押し当てることで、食材に穴を開けます。これによって肉の筋などを細かく分断し、熱の通り道を作ります。

 


デリカッターで食材に穴を開けます

「そうすることで、食べ物がほぐれやすくなるだけでなく、見た目が全く崩れないのがデリカッターのすごいポイントです」(森實氏)

 

デリカッターをした食材を載せて専用台にセットし、水を注いだデリソフター内に設置します。フタを閉めて調理モードを選び、調理開始ボタンを押すだけ。あとは15〜30分ほど待つだけで、セットした料理を柔らかく仕上げてくれます。

 


デリソフターに水を入れて

 


専用台に載せた食材をセット

 


調理開始ボタンを押して待つだけでできあがります

 


圧力をかけて蒸すことで、食材が柔らかく仕上がります

 

次回の後編では、デリソフターを開発した経緯や狙い、展望などについて紹介していきたいと思います。

この記事の著者のプロフィール

安蔵靖志

Techジャーナリスト

一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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