保存食だけで作るBOSAI食~被災された人を支援するための食事

2021.02.09

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「食」は、体に栄養を補給するというだけではなく、毎日の楽しみでもあります。それは、災害時においても同じことが言えるのではないでしょうか。

 

「災害時における食」は、命をつなぐということがもちろん第一の役割でありますが、傷つき疲れた心を癒し、明日への活力を与えてくれるという役割も備えています。私たちが日常で感じている「食の楽しみ」は、非常時においてはいつも以上に大切なことであります。

 

このような、「災害時における食」の二つの大切な役割を伝えるべく、
「体だけでなく、心もあたためるBOSAI食」を広げていらっしゃる、福本理恵さんの活動をご紹介いたします。福本さんは、東京大学先端科学技術研究センターにて、既存の高等教育で対応が難しかったこどもたちに学習機会を提供してきた「異才発掘プロジェクトROCKET」をたちあげ、現在は、ROCKETで培った技術を社会実装すべく株式会社SPACEを起業し、その代表をやっています。

 

まず、「BOSAI食」とは、被災された人自身の、または被災された人を支援するための食事で、「非常食」、「保存食」、そして「たね」の3要素を組み合わせて作ります。
「非常食」とは缶詰やレトルト食品、水など、災害時に命をつなぐ食べ物。「保存食」は干した野菜やオイルにつけた野菜などで保存がきく食べ物。これは体の栄養源となります。最後に「たね」は、被災地でたねから野菜を育て、それをBOSAI食にとりいれて使います。たねは食べ物を供給するだけではなく、育て、その成長を日々見ることで被災された人々に元気を与えます。

たねだんご

そして何より大切なことは、「BOSAI食」を作る心です。食べるてくれる人が「楽しいな。きれいだな。元気になる。」と思えるように、見た目も彩り豊かに、またユニークなメッセージを込めてつくります。BOSAI食を作るための保存食は、非常時に備えて手作りしておくことができるので、楽しく元気になるBOSAI食になるように、工夫をして作っておくことができます。

めしのたね

福本さんが防災イベントで開いた「BOSAI食カフェ」では、災害というネガティブな響きを吹き飛ばすように、子供たちの明るい声と笑顔が飛び交います。色とりどりの乾燥野菜を自由に選んでトッピングして、楽しそうにオープンサンドを作ります。

子供たちが作るBOSAI食

また、小学校での開かれた「防災と料理」をテーマとしたワークショップでは、子供たちが保存食をつくり、「BOSAI食」の3要素の一つあり、大きな特徴でもある一つである「たね」の役割について学びます。そして最後にオリジナルBOSAI食を作ります。

 

ワークショップでは、色彩ゆたかな野菜をスライスし、乾燥させて保存食を自ら作ることで、子供たちは非常時に備えるということを考えるとともに、綺麗でわくわくした気持ちにしてくれる保存食を、自分たちで工夫して作れるということを学びます。また、たねは、被災した時に植えて育てると、それが食べられるもの(体をあたためるもの)となるだけでなく、種から成長する過程を毎日見ることで勇気づけられ、元気づけられるもの(心をあたためるもの)に育っていくということを知ります。

野菜をスライスし乾燥

最後のオリジナルBOSAI食作りでは、非常食、保存食、たね、のBOSAI食3要素を使い、オープンサンドを作ります。子供たち一人ひとりが、自分のつくるオープンサンドの名前とコンセプトを考え、食べる人をどうやって励まそうか、どのように心をこめたらいいだろうかと、食材を見ながらデザインと食を通したメッセージを考えます。

 

子供たちはこのワークショップで、「非常食のおいしくないイメージが変わった。」「災害時には自分の事ばかり考えがちだが、皆で食べることで元気になる。」「工夫することで元気がでる」という感想を伝えています。

 

こうした福本さんの活動を通して、多くの子供たちが、日常だけではなく、災害時においても、「食」の持つ意味、そして「心も元気にできる」という可能性について学んでいます。

 

さらには、子供時代には支援されたり守られていることが多いですが、自分自身が支援を待つだけの存在ではなく、元気を与える存在として能動的に働きかけることができると体感することが、子供たちの自律性や自己肯定感を育んでいきます。

この記事の著者のプロフィール

ピープルトラスト研究所

データサイエンティスト/ピープルアナリスト

この記事では、AIやデータサイエンスを元にした食に関する情報を紹介していきます。著者のピープルトラスト研究所は、人を対象にしたAIテクノロジーの研究や、データ分析をしている研究所です。Food Techをはじめ、HR TechやEdu Techなど幅広い領域で、人が幸福に暮らせるための研究を行っています。

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