ポテサラは手抜き?日本人の食意識を考える

2021.03.13

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少し前になりますが、「ポテサラ論争」が話題になりました。ご存じの方も多いと思いますが、スーパーの総菜売場でポテトサラダをカゴに入れようとしている幼児連れの女性が、見知らぬ高齢男性から「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われてうつむいてしまったという話です。「ポテトサラダは簡単に作れるものではない」「ポテトサラダを作ったこともないくせに」「料理に手をかけるのが愛情という価値観は昭和」「お惣菜を買う罪悪感がある」など様々な意見が交わされ、お惣菜コーナーで「このコーナー売っているのは時間です」という張り紙をするスーパーも現れました。

 

このみる研究所では、日本人の食事に関する意識調査(N=1400、男女15~79歳)を実施しデータ分析をしたところ、「健康安全性」「手軽さ」「気分UP」という3つの要素が日本人の食事意識のキーになっていることが浮かび上がってきました。ポテサラ論争の考察をすべく「手軽さ」という要素に注目してデータを見ていきたいと思います。

「手軽さ」を象徴する質問のひとつに、普段の食事について「簡単に食事の準備ができる」ということをどの程度重視しているのかを聞いています。この質問の結果を性別年代別に見たものが【グラフ1】です。

 

 

「とても重視している」「やや重視している」を併せると性別年代問わず多くの人が重視しているということがわかります。男性に注目して見ると実は年齢の高い60~70代の人たちの方がより「簡単に準備できること」を重視している人が多いようです。ポテサラ論争で批判されていた高齢男性は「昭和の価値観」というわけはなく、実は年齢にあまり関係なく料理に「手軽さ」を求める人とそうでない人存在しているということがわかります。この結果を意外に感じられる方も多いのではないでしょうか。

 

昨今「ダイバーシティ」「多様性」という言葉をよく耳にしますが、食事についても誰もが様々な選択肢から選ぶことが可能となり、意識には「多様化」が起きているようです。「多様性」を受け入れるためにはまずお互いに違いを認識しあうとから…などと言われますが、例えば誰かと結婚して一緒に暮らしていくために1日3回食べる食事に対する意識が最初から合っているに越したことはないでしょう。晩婚化が進み、生涯未婚率も増加している日本で、「年収の低さ」「女性の社会進出」など様々なことが言われていますが、実は食事ひとつ取っても価値観ぴったり合う人を見つけるのは至難の業になっていることがうかがえます。年収や容姿、趣味などではなく、食事に対する価値観でマッチングをする婚活アプリというのも今後出てくるかもしれません。

 

話をポテトサラダに戻します。この調査ではポテトサラダを「レシピなどを見ずに作ることができる人」も調査しています。【グラフ2】を見ると、ポテトサラダを作れる人の割合は男女ではかなり大きな差があります。

 

 

見知らぬ高齢男性は、自分で作ることもできないのに「ポテトサラダくらい作ったらどうだ」といった可能性は多いにあります。ここで注目していただきたいのは30代以下と40代以上のスコアの違いです。現在の30代と40代は育ってきた環境が大きく異なっています。1993年中学の家庭科の授業が男女ともに必修となりました。この境目が今の30代と40代にあります。女性が料理をするもの、料理ができなくてはいけないという価値観自体が薄れてきていることを表しているのかもしれません。今後その意識は更に広がっていくでしょう。ポテサラ論争では、幼児連れの女性は高齢男性に声を掛けられ、うつむいてしまいました。これは女性自身にもポテトサラダは作るべきものという価値観が少なからずあったのではないかと思います。同じシチュエーションが10年後に起こった時、幼児連れのママは誰もが胸を張ってポテトサラダをカゴに入れる社会になっているのではないでしょうか。

 

このみるでは「手軽に」作り置きできるポテトサラダレシピも紹介しています。この記事を読んでポテトサラダを食べたくなった方はぜひ作ってみてくださいね。

ホームパーティーに役立つ「ポテトサラダのアレンジ」

この記事の著者のプロフィール

ピープルトラスト研究所

データサイエンティスト/ピープルアナリスト

この記事では、AIやデータサイエンスを元にした食に関する情報を紹介していきます。著者のピープルトラスト研究所は、人を対象にしたAIテクノロジーの研究や、データ分析をしている研究所です。Food Techをはじめ、HR TechやEdu Techなど幅広い領域で、人が幸福に暮らせるための研究を行っています。

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