調理道具にもなりつつある「冷蔵庫」の今

2021.01.14

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ステイホームが推奨されるニューノーマル時代が幕を開けたことで、今まで以上に重要視されるようになったのが「食事」ですが、我々の食生活を陰日向から支えてくれるのが「冷蔵庫」です。

冷蔵庫の主な役割は「食材の鮮度保持」ですが、最近さらに加わった注目の機能が「日々の調理のサポート」です。冷蔵庫の冷却方法をうまくコントロールすることで、調理の時短などにも役立つようになってきました。

 

パーシャル/氷点下ストッカー/まるごとチルドなどで冷蔵室が進化

まずは冷蔵機能の進化について紹介しましょう。冷蔵室の下には一般的に、冷蔵室の温度(約3〜6℃)よりも低温のチルド室(約0〜2℃)が設けられています。チルド室に肉や魚を入れて凍る寸前くらいまでに冷やすことで鮮度低下を防ぐというもの。これを約-3〜-1℃まで下げ、微凍結状態で保存するという方法を打ち出したのがパナソニックの「微凍結パーシャル」です。三菱電機の場合は過冷却(水などが氷点下になっても凍らない)技術を応用することで、約-3〜0℃の氷点下でも食材が凍らないという「氷点下ストッカー」を生み出しました。

パナソニックが1984年から採用している「微凍結パーシャル」

 

三菱電機の冷蔵庫に搭載されている「氷点下ストッカー」

 

日立の場合、以前は約0.8気圧まで圧力を下げる(酸素を含めた空気を減らす)ことで食材の酸化を防ぐ「真空チルド」を主力にしていましたが、今は冷蔵室全体をチルド室の温度(約2℃)にしつつ、従来のチルド室を-1℃の「特鮮氷温ルーム」にするというスタイルになっています。

日立の最新シリーズは、冷蔵室全体を約2℃のチルド温度帯にする

「まるごとチルド」を搭載

 

-1℃前後で保存する日立の「特鮮氷温ルーム」

 

特価品なども含めてついつい多く買い込んでしまう場合でも、こういった機能を備える冷蔵庫なら安心です。

 

野菜室は「湿度保持」と「ニオイ成分の分解」がポイント

従来は肉や魚の鮮度をいかに保持するかが競争のポイントだったのですが、ここ数年で進化が著しいのが「野菜の鮮度保持」機能です。

最近多くのメーカーが野菜室に搭載しているのが、野菜を劣化させるエチレンガスを触媒を用いて分解するというもの。エチレンガスは野菜や果物の生長に必要不可欠ですが、一方で野菜や果物を劣化させてしまうため、触媒によって二酸化炭素と水に分解してしまうというのが最近のトレンドです。

東芝の「もっと潤う 摘みたて野菜室」、パナソニックの「Wシャキシャキ野菜室」、日立の「新鮮スリープ野菜室」などがそれです。

東芝の「もっと潤う 摘みたて野菜室」

 

三菱電機の場合、LEDの光を照射することで葉物野菜の光合成を促進し、ビタミンCや糖度などをアップするという「朝どれ野菜室」を搭載しており、他社とは少し違う方向性になっています。

シャープの「プラズマクラスター雪下シャキット野菜室」はプラズマクラスターイオンで野菜の表面に付着した菌を除菌して野菜の鮮度を保つという機能を備えています。これらの機能にも注目です。

LEDの光を当てることで、葉野菜の光合成を促進する三菱電機の「朝どれ野菜室」

 

日々の料理作りに役立つ「機能」にも注目

ステイホーム時間が増えつつ、学校に行く子供たちのお弁当も作らなければならない。料理の回数や時間が増えている今だからこそ注目したいのが、新たに登場した冷蔵庫の「調理補助」機能です。

パナソニックの「はやうま冷凍」機能は、通常の冷凍室の約5倍という業務用レベルの急速冷凍・冷却機能を用いることで、食品の細胞破壊を抑えておいしく冷凍できるというもの。熱々の食材を急速に冷ます「はやうま冷却」を用いれば、お弁当を素早く冷ましたり、次の工程に向かうための食材のあら熱取りなどが素早く行えて便利です。急冷機能を用いれば、肉などに下味を付ける工程を短縮するといったことも可能。スマートフォンで冷却機能を設定したり、状況を確認したりできるのも、仕事に家事に忙しいテレワークの方にぴったりです。

業務用レベルの冷却機能を搭載するパナソニックの「クーリングアシストルーム」

 

三菱電機の「切れちゃう瞬冷凍」機能は、過冷却技術を用いて約-7℃で食材を瞬間的に凍結させるという機能です。パナソニックの微凍結パーシャルよりも鮮度が長持ちしつつも、肉や魚などが凍ったまま切れるというのが大きな特徴。炊きたてのご飯を熱いまま入れて冷凍させるといった使い方もできるので、ご飯を小分けして冷凍したいけど、あら熱取りに時間がかかるのが嫌……という人にもおすすめです。

-7℃前後で一気に凍らせることができる三菱電機の「瞬冷凍室」

 

切れちゃう瞬冷凍の場合、必要な分だけスプーンですくって使ったりできます。そこで筆者の場合はローストオニオンやきんぴらゴボウなどをまとめて作って保存し、スプーンですくってスープにしたり、おかずを1品増やしたりするのに活用しています。

冷蔵庫は大きいですし高い買い物なので、多くの人が壊れたら買い替えるものだと思われているかもしれません。しかしニューノーマル時代になって、生活における冷蔵庫の役割がかなり大きくなってきました。10年前に比べて省エネ性能もかなり向上していますし、同じサイズでもより大容量な冷蔵庫が置けるようになりました。冷蔵庫に不満があるという人は、今こそ買い替えの時期かもしれません。

この記事の著者のプロフィール

安蔵靖志

Techジャーナリスト

一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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