「食を彩る食器」陶磁器の姿を古の東洋文化から見よ

2020.08.20

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唐突とも思える、「食器の歴史」を”東洋の文化”から見るということに、文を書き出している私自身もいささか違和感を感じている。タイトルを目にして、一体、何を問題定義しようとしているのか分からない人も多いのではないだろうか。もちろん、一つの記事を描き上げるうえで、結末(結論)を想定していないワケがない。

 

現代の食文化において欠かせないモノとなっている『食器』

技術の進歩により、”伝統工芸品”と呼ばれる特殊技術を用いて製造される物を除いて、多くの食器が機械によって製造されている。様々な色や形の食器は、その素材も様々だ。焼き物から、金属の加工品や木工品など、我々は実に簡単に数多くの種類の食器を安価に手に入れることができるようになった。ライフスタイルや趣味嗜好によって、食器を取捨選択し、思いのままに食卓を彩ることができる。つまりは「好き」なように食器を選択し、食事を楽しむことができる。

 

我々の生活に馴染み深い「陶磁器」

 

食器の中でも、我々の生活に馴染み深いのが「陶磁器」ではないだろうか。陶磁器はツヤのある上質な質感に加え、耐久性もあることから、日用品の様々なモノに利用されている。例えば、花器や植木鉢、装飾品やタイルなどだ。何よりも、ルーツを辿れば「土器」にあたり、世界で最も古い食器と言っても過言ではない。

現代では様々な色や柄の物が販売されており、国や文化的背景によっても様々で、誰もが食事を楽しむツールとしてコレクションしやすいモノとなっている。

 

「北欧デザインが可愛い!」

「フランスっぽいエレガントで上品な物が好き!」

「やっぱりヨーロッパのものが素敵!」

そんな、言葉をよく耳にするが、陶磁器の歴史を遡れば、違和感を感じずにいられない。

 

東洋文化の影響を色こく受けた食器

 

陶磁器の歴史は、中国は”周”の時代に遡ることができる。その当時の陶磁器といえば、土を練り固めて焼成したもののを指していた。中国で製造された陶磁器の特徴としては、窯を使用し、高火度での焼成を可能としたところだ。それは、土器よりも硬い”陶器”の生産を実現したのだ。

古の中国では、その時代を統治した者達が様々な陶磁器の製造を命じ、それに伴い陶磁器を製造する技術も進歩し続けたと言われている。陶磁器自体の色はもちろんだが、目を引くのは「柄」だろう。手描きで施された柄や絵は、その当時の技術の最先端と言っても過言ではない職人の技術が詰め込まれていた。

中国の陶磁器はシルクロードを通じてヨーロッパに広く伝わった。やがて、その技術と製品は西洋の食器文化に大きな影響と恩恵をもたらした。そして、西洋の食器の歴史そのものとなっていったのだ。ヨーロッパでは17世紀頃から、独自の陶磁器製造が始まり、18世紀頃から広く一般的になったとされていることから、東洋の食器文化が現代の西洋の食器文化に強く影響を与えたことが分かるだろう。

 

美術品としての陶磁器

ヨーロッパ観光に行き、美術館で必ずと言ってもいいほど「陶磁器」を目にするのではないだろうか。ヨーロッパの王朝や皇族に贈呈品として、中国王朝から贈られた品々は、食器としてだけではなく、”高級美術品”としても名高かったのだ。その、製造技法や絵付け、色合い、繊細さなどが評価され、富の象徴としても扱われた。あの、ヨーロッパ栄華の象徴でもある「ヴェルサイユ宮殿」にも多くの陶磁器が展示されている。

 

 

普段、何気なく使っている食器。中でも陶磁器には、現代の西洋文化のルーツとして東洋文化が色こく根付いている。欧米の食文化の影響を強く受けている、今日の日本の食卓において、ヨーロッパやアメリカの食器に憧れを抱くのは自然なことだ。しかし、今一度その食器の魅力の深い部分に一歩足を踏み入れてみてはどうだろうか。「陶磁器の歴史」を”東洋の文化”から見てみてはいかがだろうか。

この記事の著者のプロフィール

杉浦 雄貴

株式会社バンドオブブラザーズ 代表取締役

クリエイティブカンパニー株式会社バンドオブブラザーズを2017年に設立。ファッション好き・音楽好きというのを背景に、"食"にまつわる様々なカルチャーについての記事をお届けします。

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